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日本的雇用慣行の下では、正規雇用と非正規雇用の間で雇用保障の程度や教育訓練・賃金等に大きな差があり、特に有期雇用の労働者はキャリア形成が困難であった。しかし、有期契約労働者の無期転換ルールや多様な正社員の推進等によって雇用の二極化が緩和され、2023年3月には、労働契約のさらなる多様化に向けた環境整備として、労働基準法(以下、「労基法」という)15条の労働条件明示義務を強化する省令改正が行われた(2024年4月1日施行)。本稿は、雇用形態や労働契約の多様化との関連で実施された政策の流れを振り返り、2023年3月改正を概説した後、本改正が今後の労働者のキャリア形成と日本の雇用慣行に与える影響について考察する。¶001