FONT SIZE
S
M
L

事実

Y(被告)は、医療機関の経営等を目的として設立された社会福祉法人であり、当該医療機関の1つとしてA病院(以下、「本件病院」という)が設置されている。X1~X9(原告。以下、「Xら」という)は、本件病院で勤務する正規職員であり、全員がB労働組合(以下、「本件組合」という)の組合員である。¶001

令和元年11月、本件病院の事務局は、現在の給与規程(以下、「本件旧規定」という)について、扶養手当を廃止して子ども手当及び保育手当を新設し、住宅手当を廃止して賃貸物件に係る住宅補助手当を新設する方針を決定した。その理由は以下の通りである。まず、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下、「パート有期法」または「パートタイム・有期雇用労働法」という)の改正に伴い、正規職員・非正規職員間の不合理な待遇差が禁止され、具体的な説明が困難な格差を是正しなければならないが、本件旧規定に係る手当支給の主旨・目的は不明確であり、その主旨を明確にして、時代のニーズを勘案した、納得性の高い変更をする必要がある。一方で、本件病院の経営状況は右肩下がりであり、かつ費用総額に占める人件費比率は右肩上がりであるため、変更の結果、人件費総額を超えないようにする必要もある。¶002