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事実

Ⅰ 当事者

Y社(被告・控訴人=附帯被控訴人)は、引越運送等を業とする株式会社である。X1~X3(原告・被控訴人=附帯控訴人。以下「Xら」という)は、いずれも平成25年から、Y社I支社において正社員の現業職(運転手)として引越運送業務に従事し、平成30年に退職した元労働者である。¶001

Ⅱ 事案

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Y社では、「現業職給与体系」に基づき、現業職に対し、基本給等からなる「基準内賃金」のほか、売上額に応じて9段階で支給額が定まる業績給A(売上給)、作業1件に対して、3段階の車格に応じて支給額が定まる業績給A(件数給)、長距離運転やピアノの積卸し等の特定の作業等を行った場合に支給される業績給B、洗車や車両のワックスがけの回数に応じて支給される愛車手当等の各賃金項目からなる賃金を支払っており、このうち各業績給および愛車手当は、いずれも現業職給与体系において「業績給」とされ、労働基準法施行規則19条1項6号所定の出来高払制賃金として扱われていた。Y社における現業職への作業の割当て(配車)は、配車係が裁量的に行っており、午前便については前日の配車表の記載により確定し、午後便については午前便の終了後に配車係の指示により確定していた。¶002