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Ⅰ 江戸時代前後(A)

男色という恋愛習慣があった。例えば、1687年(貞享4年)、井原西鶴『男色大鑑(なんしょくおおかがみ)』が発刊されるように(『好色一代男』が1682年〔天和2年〕、『好色一代女』1686年〔貞享3年〕)、男同士の性的関係を含む恋は「男色」と呼ばれ、恋愛習慣の一部だった。「男色」は成人男性と未成年が主体とされ、現在の男性同性愛とは異なるため、江戸時代は性的指向に寛容だったとまとめることはできないが、少なくとも、同性愛を精神疾患とみなしていた明治期とは異なると言える。¶001