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事実

本件は、被告人と顧客との間で、「給料ファクタリング」と称して行われていた取引(以下「本件取引」という)が、貸金業法違反(無登録営業罪)と、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という)違反(業として行う超高金利罪)に問われた事案である。¶001

本件取引は、被告人が、労働者である顧客から、その使用者に対する賃金債権の一部を、額面額から4割程度割り引いた額で譲り受け、同額の金銭を顧客に交付するというものであった。本件取引では、契約上、使用者の不払の危険は被告人が負担するとされていたが、希望する顧客は譲渡した賃金債権を買戻し日に額面額で買い戻すことができること、被告人が、使用者に対する債権譲渡通知の委任を受けてその内容と時期を決定すること、顧客が買戻しを希望しない場合には使用者に債権譲渡通知をするが、顧客が希望する場合には買戻し日まで債権譲渡通知を留保することが定められていた。そして、全ての顧客との間で、買戻し日が定められ、債権譲渡通知が留保されていた。¶002