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はじめに
本稿に課された課題は、1990年代の統治構造改革のうち、金融・財政の領域におけるものを取り上げ、その後の30年間の動きを振り返りつつその意義を検証し、現在あるいは今後の社会におけるあり方を展望せよというものであった。しかし、筆者の能力と紙面の限界ゆえ、金融については他日を期し、財政の中でも予算編成過程に関わる3つの項目を取り上げて、平成期の動きを素描し、可能な範囲でコメントを行うことで責を塞ぎたい1)。¶001
平成期の財政の課題は巨額の財政赤字への対応であった。経済財政諮問会議は、小泉政権のもと予算編成過程の中で歳出抑制を図る場として機能したが、その後はその機能が揺らいでいる。歳出総額や債務残高につき実体的な制約を法律ひいては憲法で課すことも考えられるが、財政構造改革法の頓挫が示すように実現が難しい。近年提案されているのは、独立財政機関を設置し、マクロ経済推計の予測や長期的な財政の持続可能性の分析、さらには政府が中期財政計画を策定することを前提にその達成状況の検証を担わせるものである。そこでは独立財政機関の独立性と信頼性の確保が課題となる。
本稿に課された課題は、1990年代の統治構造改革のうち、金融・財政の領域におけるものを取り上げ、その後の30年間の動きを振り返りつつその意義を検証し、現在あるいは今後の社会におけるあり方を展望せよというものであった。しかし、筆者の能力と紙面の限界ゆえ、金融については他日を期し、財政の中でも予算編成過程に関わる3つの項目を取り上げて、平成期の動きを素描し、可能な範囲でコメントを行うことで責を塞ぎたい1)。¶001