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Ⅰ はじめに
現代国家においては、行政権は政治の中心に位置する。それは、国政における行政の重要性が、近代に比較して飛躍的に増大したためであり、こうした現象は現代の先進国に普遍的にみられるものである1)。その一方で、現代の「行政国家」においては、行政権はしばしば幅広い裁量をもって市民の生活に深く介入し、市民に対して大きな影響を及ぼすため、このような強大な行政権に対していかにしてコントロールを及ぼすかが重要な課題となる。日本においても、このような問題意識の下、1990年代以降、国政の中心は国会にではなく内閣に求めるべきとしつつも、その一方で、議院内閣制の枠組みの中で、国民に内閣とその政治プログラムを実質的に直接選択させ、以って国民意思を内閣に反映させることを可能にするような運用を模索すべきであるという国民内閣制論2)が主張された。¶001