Ⅰ はじめに

本論文は、「性的マイノリティ」と呼称されることもある人々が、雇用関係の形成、展開等の場面において直面している困難として認識されているものを確認、整理した上で、そうした困難につき、法的な対応のあり方にかかる日本の労働法の現状を(これもまた)確認し、併せて、一定の検討を加えるものである。

日本における、性的マイノリティにかかる労働法上の課題についての研究は、主に2015年頃から、とりわけ、ここ2、3年程度において、蓄積が進みつつあるように見受けられる1)。この点、先の段落で述べたような性的マイノリティの人々が直面する困難の確認、日本の労働法の現状の確認及び検討といった本論文で取り上げる事柄についても、既存の研究が一定程度あるといえるようにも思われるが2)、本特集の一内容として、そうした先行研究における議論状況を含め本論文の主題にかかる状況を整理しておくことに意味がないとまではいえないと考え、上述した事柄について論じることとしたい。