Ⅰ はじめに

女性活躍推進法1)は、女性の職業生活における活躍を、迅速かつ重点的に推進することを目的とするものとして(1条)、2015年8月に成立した。これは、少子高齢化の中で労働力人口を維持して生産性を上げるため、女性就労の量的な拡大と質の向上が重要と認識されたことを受けて(「日本再興戦略」〔改訂2014年〕8頁)、制定されたものである2)

職業生活における性別に着目した法律としては、既に労基法4条と男女雇用機会均等法(以下、「均等法」という)が存在していた。両者は主に差別禁止という観点から、男女に平等な労働条件及び機会を保障しており、均等法には、より積極的な措置として、ポジティブ・アクションを許容する規定も存在する(8条)。また、実態として女性が担うケースが多い育児・介護との両立支援のため、育児・介護休業法(以下、「育介法」という)は、育児・介護休業等の権利(育介5条・11条)や、これらの権利行使に基づく不利益取扱いの禁止等(同10条・16条等)を規定している。しかし、これらの規定にもかかわらず、出産・育児期に退職する女性労働者が多く、女性労働者のうち非正規労働の割合は高い。また、国際的に見ても、管理職以上に占める女性の割合が非常に低いことが指摘されてきた3)。このような状況が続く中、男女平等の実現や母性保護ではなく、労働力確保という政策的な視点から、改めて女性の就労が論じられるようになっている。