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1本特集は「労働市場流動化と退職・転職」と題して、労働市場の流動化に伴って生ずる法的課題を労働法、公務員法、租税法の視点から多角的に検討するものである。¶001

終身雇用ないし長期安定雇用を特徴とする日本の雇用システムの変容が言われて久しい。この30年ほど、労働市場流動化をめぐって様々な政策論が展開されてきた。近年においても、政府は三位一体の労働市場改革として、リ・スキリング、職務給の導入、そして成長分野への労働移動の円滑化を主張している1)。しかし、円滑な労働移動や労働市場の流動化の制約となる要因には、法制度的な要因もあれば、企業が独自に設定している制度に起因するもの、社会に根付いた慣行や意識によるものなど多様である。¶002