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Ⅰ はじめに

本稿に与えられた課題は、退職金(手当)1)に関して、その法的性格の官民比較や公務員に対する支給制限の動向、また、その民間への影響も含めて論じることにある。¶001

なお、官民ともに、懲戒解雇(免職)、また、これに伴う退職金(手当)不支給が争われた裁判例は多岐にわたるが2)、本稿では、近時の公務員にかかる最高裁判例が──私生活上の非違行為である──飲酒運転に伴う全部不支給が争われた事案であったことに鑑み、同様の事案を中心に、その判断傾向を明らかにする限りで若干の例を取り上げるにとどめることとする。¶002