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有斐閣法律用語辞典第5版
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Ⅰ 職業選択の自由による転職の自由の保障
一般的に労働者は、信義則(民1条2項、労契3条4項)に基づき、使用者に対してその利益を害する行為をしてはならないという誠実義務を負い、その一環として在職中の競業避止義務を負うと解されている1)。これにより、労働者は、使用者の同業他社の従業員や役員となること、競合事業を自ら行うこと、使用者の顧客を勧誘すること等が禁止される(営業秘密の保持につきⅢも参照)。これらの行為は、懲戒事由や退職金不支給事由に該当しうる2)とともに、債務不履行に基づく損害賠償責任を発生させうる3)。転職準備の一環としての従業員引抜きを理由とする幹部従業員の損害賠償責任については、裁判例に、従業員の転職の自由や職業選択の自由の保障の下で、転職の「判断は最大限尊重されなければならない」ことから、引抜行為が誠実義務違反を理由とする債務不履行または不法行為を構成するのは、使用者の事業の存立に打撃を与える態様で計画的に行われるなど、「単なる転職の勧誘の域を超え、社会的相当性を逸脱した不公正な方法で行われた場合」だと解し、さらに損害発生との間の相当因果関係も慎重に判断したものがある4)。また、悪質な従業員引抜きは懲戒事由にも該当しうる5)。¶001
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植田 達「労働者の転職の自由保障と競業避止義務等による制限」ジュリスト1607号(2025年)30頁(YOLJ-J1607030)