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Ⅰ 地域公共交通とSDGs

地域公共交通は、市民の日常生活及び社会生活を支える重要な社会的基盤として従来から高い公共的性格をもち、地域内はもとより地域間の人の流れを創出するという役割を担っており、その充実の度合いが地域や都市の価値を決定づける重要な要素の一つとされてきた。¶001

また地域公共交通とSDGsとの関わりは深い。2015年9月に国連で採択された「2030アジェンダ」で掲げられたSDGsにおいても、「交通・運輸」は複数のゴールの中核に位置づけられており、特に、健康、エネルギー、経済成長、都市及び人類の居住に深く関連する。例えば、地域コミュニティの形成(ゴール11)に貢献するとともに、経済成長(ゴール8)の支援に深く関わる。また、あらゆる利用者に平等に交通アクセスが提供されるという意味で不平等の軽減にも資する(ゴール10)。また、温室効果ガスの約2割は交通・運輸から排出されているところ、環境負荷の小さい移動手段である公共交通機関へのモーダルシフトは、都市の大気の質改善による健康と福祉(ゴール3)を実現するだけでなく、エネルギー効率の高いモードとして気候変動目標への貢献も期待される(ゴール13)。¶002