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はじめに
本稿は、EU競争法の国家補助規制のうち、環境保護分野とエネルギー分野に係る規制を対象に総論的な検討を行うものである1)。¶001
国連の持続可能な開発目標(SDGs)は多岐にわたり、本稿に関連するエネルギー(目標7)、気候変動(目標13)、環境保全(目標6・14・15等)も目標として掲げられている。EUにおいては、フォンデアライエン委員長率いる欧州委員会が2019年12月に欧州グリーンディール2)を公表した。欧州グリーンディールは、2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロとする「気候中立」という目標達成に向けた包括的な新経済成長戦略であり、SDGsに掲げられた目標実現に向けたEUの戦略として位置づけられる。2021年7月には、気候中立の達成を拘束力ある目標とすべく、温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロにする欧州気候法3)が施行された。¶002