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Ⅰ はじめに
近年のわが国では、労働力不足が問題となっている。この近年問題となっている労働力不足は、これまでみられた人手不足とは異なり、少子化の進行による労働力人口の減少という、一時的な現象とは異なる構造的要因によるところが大きい。しかしながら、わが国の労働力不足の問題は、そのような構造的要因のみならず、長時間労働の問題との連関でも考えなければならない。というのも、労基法の改正等により労働時間規制を強化し労働時間の短縮が推進されているが、労働時間規制がその効果をあげ労働時間の短縮が実現した場合、業務量に変動がなければ追加労働力を必要とし、それは人手不足の要因となる。またその逆に、労働力の確保が十分にできない場合、それを埋めるため長時間労働に依存することとなる1)。このように、長時間労働の問題と労働力不足の問題は、相互規定的な要因関係にある。いわゆる2024年問題は、上記の問題を典型的に示すものである2)。¶001