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事実
本件は、被告人らが、3つの保育園施設の工事費用等をそれぞれ水増しして申請し、これにより企業主導型保育事業に関する助成金を計3回騙し取ったとして詐欺罪で訴追されたものである。¶001
第1審(松山地判令和2・3・6刑集75巻7号649頁)は被告人らに詐欺罪の成立を認めた。補助金等不正受交付罪が詐欺罪の特別規定であることから、補助金等不正受交付罪が適用される本件では詐欺罪は成立しない旨の弁護人の主張に対して、第1審は、①両罪の構成要件には要件及び成立範囲の点に相違があって包摂関係になく、一般法と特別法の関係としては定められていないこと、②補助金等不正受交付罪の罰則規定が重い詐欺罪の適用を否定する趣旨を含んでいるとは解されないこと、③補助金等不正受交付罪を詐欺罪の特別規定と解すると不均衡な帰結が生じることを理由に、この主張を排斥した。¶002