事実

X(原告)は学校法人Y(被告)の設置するA大学の非常勤講師である。XはB文学を専攻して大学院修士課程を修了し、博士課程を平成元(1989)年3月に退学後、同年からYと期間1年の有期労働契約(以下、「有期契約」)を締結・更新し、学部学生に対するB語の初~中級の授業、試験等の業務を担当してきた。なお、Xは研究関連業務には従事しておらず、Yから研究室の割当てや研究費は受けていない。

令和元(2019)年6月、Xは、同人が加入するC労働組合とYの団体交渉において、労契法18条1項に基づく無期労働契約(以下、「無期契約」)への転換申込みの意思をYに表示した。これに対し、Yは同年12月、Xが科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(以下、「科技イノベ活性化法」)15条の2第1項1号の特例に該当し、契約期間が10年を超えるまで無期転換申込権は発生しないと回答した。なお、XとYの平成26(2014)年度以降の労働契約書には、Xを上記の特例の対象者とすることが記載されていた。また、非常勤講師に関するYの就業規則にも、非常勤講師を特例の対象者とする旨が定められていた。