事実

本件は、被告人が、スーパーマーケットにおいて、食料品10点を窃取したという窃盗の事案である。第1審判決が被告人は心神耗弱の状態にあったと判断したところ、控訴審が第1審判決を事実誤認を理由に破棄し、完全責任能力を認めて自判をしたため、弁護人が上告して判例違反等を主張した。控訴審が、被告人に不利益な破棄自判をするに際し、何ら事実の取調べをしなかったことの適否が問題となった。

第1審判決は、被告人が重症の窃盗症にり患し、その影響により窃盗行為への衝動を抑える能力が著しく低下していた疑いがあり、行動制御能力が著しく減退していた合理的疑いが残るから、被告人は、本件犯行時、心神耗弱の状態にあったとして、被告人を懲役4月に処した。