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CASE

A社は、作家Bとの間で、Bが執筆した小説(以下「本件小説」という)について、A社に1号出版権を設定する旨の出版権設定契約(以下「本件出版契約」という)を締結した。本件小説はA社から単行本として出版された後、文庫化され、本件出版契約に基づきBに対して印税の支払も行われていた。

その後Bが死亡し、相続人である妻C1と子C2が本件小説を含むBの作品の著作権を各1/2の持分割合で共同相続したが、C1とC2は、Bの作品を管理するために財団法人Dを設立し、Bが遺した生原稿などの遺品、そして本件小説を含むBの作品の著作権をDに譲渡した。

A社がC1に対し、Bの逝去を踏まえて本件小説の判型を変えた書籍の刊行の提案をしたところ、C1よりDが本件小説の新たな単行本と電子書籍を出版するため、既に別の出版社のE社に対して1号出版権及び2号出版権を設定する出版権設定契約を締結したと聞かされた。C1としては、長年Bが世話になったA社との関係を壊したくないが、C2の強い意向でそうせざるを得なかったとのことであった。

A社の担当者から、

(ア) E社による本件小説の出版を止めることはできないのか。またA社としては今後も本件小説の出版を継続できるのか。現状ではできないとすれば、どうすればできるのか。

(イ) 今後このようなことが起こらないよう、どのような対策をすればよいのか。

との相談があった。

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