事実
本件は、株式会社Y1(被告)との間で雇用契約を締結していたX(原告・控訴人)が、法人格否認の法理等に基づきY1及びY2株式会社(被告)に対して未払賃金等を、またY1及びY2の代表取締役または取締役であるY3(被告・被控訴人)及びY4(被告・被控訴人)と、Y2の代表取締役であるY5(被告・被控訴人)に対して会社法429条1項に基づき賃金等の未払いによって生じた損害賠償等を求めた事案である。¶001
Xは、平成30年3月頃、Y1と期間の定めのない労働契約を締結し、その後、令和元年9月30日に退職した。Y1は、平成30年3月に設立された人材派遣業等を目的とする株式会社であり、Y2は、令和元年6月24日付で設立された労働者派遣事業等を目的とする株式会社である。Y3は、Y1を設立し、代表取締役に、その後、Y2の取締役にも就任した。Y4は、Y1の設立当初からの取締役であり、設立当初からY2の取締役も務めている。加えて、Y5は、Y1の従業員であったが、Y2設立時にY3に依頼されて、同人の代わりに代表取締役になった。Y2は、別件訴訟において、Y1と訴外A社との間で紛争が生じ、A社がY1の口座について仮差押えを行ったことで、Y1が同口座を利用することができなくなったことから、Y3が代表取締役の地位を退き、新たな会社として設立したものであった。なお、Y1には従業員が8名から10名程度いたところ、その全員がY2の従業員となっており、Y1はY2設立以降は経済活動をしておらず、また、Y2の業務内容はY1と同一であった。¶002