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Ⅰ 岐路に立つインフラマネジメント

2012年の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を契機に、国土交通省は、「社会資本メンテナンス元年」と位置付けた2013年以降、高度成長期以降に整備した社会資本の急速な老朽化に対応すべく、施設に不具合が生じてから対策を講じる「事後保全型」から、定期的に点検・診断を実施し、不具合が生じる前に対策を実施する「予防保全型」インフラメンテナンスへの転換を進めてきた。具体的には、維持管理の基準・マニュアルの整備や維持管理・更新を戦略的・計画的に進めるための長寿命化計画の策定、新技術の開発・実装、地方公共団体への技術的・財政的支援を行い、法制面でも、点検等の維持修繕基準を法定化する道路法、河川法、下水道法、港湾法等の改正が行われた。また、最近では、バラバラに管理されてきたインフラを、地方公共団体の枠やインフラ分野の枠を越えて一つの「群」として捉え効率的・効果的にマネジメントする「群マネ」を推進している。こうした中、2025年1月に、埼玉県八潮市で老朽化した下水道管の破損に起因する大規模な道路陥没事故が発生し、1名の方がお亡くなりになったほか、約120万人の方々へ下水道使用の自粛要請、長期間の道路通行止めなど、地域住民の社会生活や活動に重大な影響を及ぼした。この事故を受け、国土交通省が設置する有識者委員会(「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」及び「上下水道政策の基本的なあり方検討会」)で、大規模な道路陥没を引き起こすおそれのある下水道管路の点検をはじめ施設管理のあり方や、持続可能な上下水道を実現するため経営・組織など基盤の強化の方策についてご議論いただいた。そして、有識者委員会の提言・とりまとめも踏まえ、埼玉県と同様の事故を二度と起こしてはならないとの強い決意の下、第一に、老朽化対策を確実に実施するため、安全性確保を最優先する下水道マネジメントの確立、第二に、下水道管理者等と道路管理者の連携強化による、道路地下空間の安全性確保、第三に、広域連携の推進等による、下水道の基盤の強化の3つの内容を盛り込んだ、「下水道法等の一部を改正する法律案」(以下、「法案」という)が2026年3月に特別会へ提出された。¶001