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はじめに

以下では、令和5年11月から令和6年10月までの間における知的財産法に関する裁判例について、注目すべき論点が含まれているものを中心に紹介する。事件番号のみを表示した裁判例は、令和7年2月下旬の時点で判例集等には掲載されていないが、裁判所ウェブサイトの判例検索システムで事件番号により検索することができる。¶001

Ⅰ 特許法

1 権利帰属

⑴ 発明者概念

東京地判令和6・5・16(判時2601号90頁)は、特許法上の「発明者」が自然人を指し、AIはこれに含まれないと判示した(控訴棄却:知財高判令和7・1・30〔令6(行コ)10006号〕)。我が国において、AIが発明者たりうるかにつき裁判所の判断が示された初めての例である。AIがもたらす社会経済構造等の変化を踏まえ、立法的解決を促す旨の「付言」をしている点にも注目される(詳細については、知的財産法1の解説を参照)。¶002