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Ⅰ はじめに

人格権は、人の人格に本質的な身体的及び精神的利益の総体である私法上の権利として発展してきているが、日本の法システムでは、私法上の権利にとどまらず、憲法13条により保障される基本的人権という位置づけが与えられている。しかし、人格という概念自体が曖昧であるのと同様に、人格権の外延も実はかなり不明瞭である。これまで、人格権や人格的利益との関係では、生命、身体、名誉、氏名、肖像、プライバシー、私生活の平穏、パブリシティ等々の権利・利益が裁判で個別的に認められたとはいえ、人格権という権利の内容は依然として漠然としており、その全体像を把握することは困難である。¶001