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Ⅰ 人事訴訟法の制定及びその後の経緯
人事訴訟法(平成15年法律第109号)の制定以前、人事訴訟事件は、訴えの提起に先立ち、まず、家庭裁判所に家事調停を申し立て、調停が不成立で終わると、今度は地方裁判所に訴え提起すべきものとされ、家庭裁判所の調停手続と地方裁判所の人事訴訟手続に分断されていた。また、家庭関係事件のうち、人事訴訟手続以外の、財産分与、子の監護者の指定、養育費の負担、婚姻費用の分担に関する争いなどは、家事審判手続により家庭裁判所で審理・判断されるものとされながら、それらのうちの一部のものは、離婚訴訟に付随している限り、地方裁判所で審理・判断することができるとされるなど、管轄の配分が煩雑で分かりにくいものになっていた。さらに、地方裁判所には、家庭裁判所調査官もいないため、人事訴訟の審理・裁判にこれを利用することもできなかった。¶001