Ⅰ
株主平等の原則(以下、「同原則」)の内容・適用範囲は曖昧かつ無限定であったところ、会社法は一般的な規定(会社109条1項)を設けたが、かえって議論の混迷に拍車をかける結果となった(序章)。また、最近の判例は、差別的な取扱いを本質とする買収防衛策を必要性・相当性を理由に適法とし、株主を締め出す株式の併合について株主を平等に扱うものというが、判断枠組みの妥当性や紛争解決の思考方法に釈然としないものが残る。¶001
商事法務
2024年03月刊
A5判上製・352頁
本体8000円+税
ISBN 978-4-7857-3086-4
序章
第1節 問題意識
第2節 検討課題
第3節 検討方法
第1章 ドイツ法における平等取扱原則という法理の内容
第1節 総説
第2節 平等取扱原則の機能と根拠
第3節 平等取扱原則の適用範囲と内容
第4節 本章のまとめと考察
第2章 ドイツ法における多数決濫用への対処法理と平等取扱原則①──判例および従来の学説
第1節 総説
第2節 判例・立法の状況
第3節 従来の学説の状況
第4節 本章のまとめと考察
第3章 ドイツ法における多数決濫用への対処法理と平等取扱原則②──近時の見解
第1節 総説
第2節 株式法の全体的構想に関する新たな理解に基づく主張──第1のアプローチ
第3節 多数決原理の根拠論に基づく主張──第2のアプローチ
第4節 本章のまとめと考察
第4章 ドイツ法の検討結果の総括と日本法の検討方針
第1節 総説
第2節 ドイツ法の検討結果の総括
第3節 日本法の検討方針
第5章 日本法における学説の整理①──株主平等の原則と定款自治
第1節 総説
第2節 会社法制定前の状況
第3節 会社法制定後の状況
第6章 日本法における学説の整理②──株主の不平等取扱いの許容性
第1節 総説
第2節 会社法制定前の状況
第3節 会社法制定後の状況
第7章 日本法における判例の整理
第1節 総説
第2節 第二次世界大戦前
第3節 第二次世界大戦後①──平成17年頃より前
第4節 第二次世界大戦後②──平成17年頃より後
第5節 本章のまとめと考察
第8章 本書における検討課題の考察
第1節 総説
第2節 日本法の整理・分析の総括
第3節 本書の検討課題の考察
終章
第1節 本書の検討の総括
第2節 残された課題
株主平等の原則(以下、「同原則」)の内容・適用範囲は曖昧かつ無限定であったところ、会社法は一般的な規定(会社109条1項)を設けたが、かえって議論の混迷に拍車をかける結果となった(序章)。また、最近の判例は、差別的な取扱いを本質とする買収防衛策を必要性・相当性を理由に適法とし、株主を締め出す株式の併合について株主を平等に扱うものというが、判断枠組みの妥当性や紛争解決の思考方法に釈然としないものが残る。¶001