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((1)より続く)¶001

Ⅲ 法人格否認の法理と、賃金債権・労働契約上の地位(承前)

3 労働契約上の地位と、濫用目的の内容・法人格否認の法理の機能

土岐先ほど少し出ていた、組合壊滅目的で解散・解雇したというときに、これは南さんのご議論にも出ているのですけども、私は、労組法7条1号が、事業の引受け、既存の事業から切り離されないということを保障しているという読み込みをするということで、救済されうる場合があるという議論をしたのですね1)。事業の引受けのみだと労働契約上の地位は出てこないので、事業から切り離されないことを説明する理屈が必要になります。それを労組法7条1号の不利益取扱いの禁止の中に読み込むことによって、事業がA社からB社に移っているときは、法人からは切り離されているのですけど、事業からは切り離されないということを確保するためには、法人格否認という理屈を使わないと説明できないという問題意識で、今のような議論をしたというところがあります。¶002