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Ⅰ 本稿の目的

資金決済に関する法律(以下、「資金決済法」という)の暗号資産と電子決済手段の定義規定には共通点が多い。たとえば、資金決済法2条5項1号の電子決済手段と同条14項1号の暗号資産は共に「物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値……であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」である。これらの規定では、暗号資産と電子決済手段は不特定の者に対して利用可能な決済手段であることが想定されている1)2)。経済的機能に着目するならば、これらを遣り取りするためには銀行等の管理者にアカウントを開設してもらう必要はなく、ネットワークの参加者の間で直接取引(以下、「P2P取引」という)が可能な点がその特徴となる。このような機能はパーミッションレス型分散台帳によって支えられている3)¶001