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はじめに
BIS(国際決済銀行)が各国の中央銀行を対象に2023年に行ったCBDC(Central Bank Digital Currency:中央銀行デジタル通貨)に関する調査によれば、回答のあった86の中央銀行のうち(この86の中央銀行の所在地国は、全世界の人口の81%を占めるとされる)、94%がCBDCに関する何らかの取組みを行っていると回答した1)。例えば、欧州では2023年6月に“Single Currency Package”が公表され2)、デジタルユーロの創設のための規則案も公表されている3)。我が国でも、同年6月16日の「経済財政運営と改革の基本方針」において、政府・日本銀行はCBDCの発行の実現可能性や法制面の検討を進める、との方針が示されている4)。同年12月13日には財務省に設置された「CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する有識者会議」が取りまとめを公表し5)、2024年4月17日には「CBDCに関する関係府省庁・日本銀行連絡会議」が、日本銀行と仲介機関の役割分担、CBDCと他の決済手段の役割分担、セキュリティの確保と利用者情報の取扱い、法令面の対応等についての現時点における考え方をまとめた中間整理(以下「中間整理」として引用する)を公表している6)。また、日本銀行では、2021年4月からシステム的な実験環境における検証を行い、2023年4月からは民間事業者の参加も得たパイロット実験を行っている7)。¶001