事実
アラブ首長国連邦(以下「UAE」)の首長国の一つであるドバイに本店を置くリミテッドライアビリティカンパニー(以下「LLC」)であるX(原告)は、東京都内のビルの一室を賃借して事務所を有していた。Xは、顧客に対して、「インハウスバンキング決済システム」と称するシステム(以下「本件システム」)を利用した資金移動サービス、顧客が保有する暗号資産の売却に係るサービス、内国法人である訴外A社及び訴外B社の各株式(以下「本件各関連会社株式」)の譲渡等を行っており、顧客から手数料及び本件各関連会社株式の譲渡の対価を収受していた(なお、Xは、本件システムの利用について、顧客が本件各関連会社株式を購入することを条件としていた)。当時、UAEにおいては、法人(LLCを含む)に対する連邦レベルの課税制度が設けられておらず、各首長国が独自の課税制度を有していた。また、ドバイにおいては、ドバイ所得税命令が、全ての課税対象者の課税所得に対して所定の税率による所得税を課す旨規定していたが、実際に租税を課されるのは、石油会社等に限られており、Xは、UAE及びドバイにおいて租税を課されていなかった。課税対象者とは、ドバイに存在する恒久的施設を通じて取引又は事業を遂行し、かつ、ドバイ所得税命令に基づき課税される所得税債務を他の根拠に基づき免除されない法人であり、設立地は問わず、また、当該法人の全ての支店も含まれる。¶001