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Ⅰ はじめに

本連載「SDGsと経済法」の第6回は労働問題・格差問題を扱う。関係するSDGsの目標は、①貧困をなくそう、③すべての人に健康と福祉を、⑤ジェンダー平等を実現しよう、⑧働きがいも経済成長も、⑩人や国の不平等をなくそう、⑯平和と公正を全ての人に、などである(番号は目標番号)。¶001

日本ではこの30年間、労働者の賃金が停滞しており、賃上げや適正な労務費の転嫁が重要な政策課題となっている。本稿では、経済法(独禁法・下請法等のほか、国家が市場経済の問題を解決するための諸規制も含む)は労働問題・格差問題の解決にどこまで貢献できるのかを探ってみたい。その際の観点は、適正取引、価格転嫁、ジェンダー・インクルーシブ競争法の3点である。¶002