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1990年代に金融の自由化・グローバル化が進むにつれ、有害な租税競争が顕在化し、その後の金融危機・コロナ禍を経て、各国の財政悪化、格差拡大・貧困化が顕著となった。それに伴い、多国籍企業・富裕層に対して適正な税負担を求める声は一段と厳しくなっている。本書は、この経済社会変化の過程で著者が公表した複数篇の論文をもとに、新たな書下ろし部分を加えて体系化された学術書である。本書の主題は、「国境を超える膨大な所得と資産を支配する多国籍企業と富裕な個人投資家層に対し、適切な法人課税と公正・公平な個人所得課税を実現するための税制をいかにして確立するか」(1頁)である。本書は3部構成(序章に続く全12章、終章と補章)で展開される。¶001