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Ⅰ はじめに
日本経済が物価高騰に直面する中、企業が上昇する生産コストを商品価格に適切に転嫁し、賃上げの原資を確保するには、川下にいる消費者の実質購買力を維持する必要があり、そのための主たる方策として、物価上昇に見合う賃上げと、可処分所得の増加という賃上げと同等の効果をもたらす裁量的財政政策としての減税がある1)。両方策を推し進めるべく、令和6年度税制改正において、賃上げ促進税制が導入されるとともに、調整給付を伴う定額減税を内容とする特別税額控除制度が導入された。¶001