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日本の社会保障制度は社会保険、生活保護、社会福祉、および、公衆衛生の4本柱で構成されると説明され、社会保障法学では主として前者3つを研究対象とする。本書が題材にとりあげる社会手当は社会保障制度の1つではあるが、この3つのいずれにも分類されない。そのため、従来、社会保障法学において社会手当はあまり深く掘り下げて研究されてこなかった。¶001

本書はその社会手当を研究主題に掲げ、日本で初めて社会手当が創設された1960年代から現代までの社会手当各制度の政策決定過程を分析したものである。それゆえ、本書の第1の特徴は社会手当を網羅的に──児童扶養手当、「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」が定める3種の手当、児童手当、および、年金生活者支援給付金──、かつ時系列に沿って体系的にとりあげた点である。¶002