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 事実の概要 

訴外A(ソロモン諸島所在の法人)は、平成30年10月1日、荷送人をA、荷受人を訴外Bとして、冷凍マグロ(以下、「本件貨物」)のソロモン諸島ホニアラからシンガポール経由、清水港までの運送をY(シンガポール法人─被告)に委託した(以下、「本件運送契約」)。同日、Yは本件運送契約に基づき複合貨物船荷証券1通(以下、「本件証券」)を発行し、本件貨物を納めたコンテナを船積みした。本件貨物はシンガポールを経て、同年11月9日、清水港においてBに引き渡されたが、同月20日、本件貨物の買主は一部が腐敗ないし変色していたとして受取りを拒否した。Bと貨物海上保険契約を締結していたX(台湾法人─原告)は、本件貨物の損傷がコンテナの冷凍機の故障により生じたものと認め、平成31年4月23日、保険金として658万2326円をBに対して支払った。Xが保険代位により本件運送契約の債務不履行による損害賠償請求権を取得したとして、Yに対して上記の額と遅延損害金の支払を求める訴えを提起したところ、Yは船荷証券約款にあるシンガポール裁判所を指定する管轄合意条項(以下、「本件管轄合意条項」。下記⒟(ⅱ))を援用して、訴えの却下を求めた。¶001