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2000年に改正された成年後見制度の実務運用は、判断能力が不十分とされる高齢者・障害者のための権利擁護支援の重要な手段としての役割を果たしてきた一方、本人保護を重視するあまり本人の自己決定や生活上のニーズを制約してしまう課題が明らかとなってきた。そして、障害者権利条約の批准を踏まえ、意思決定支援の重要性が各分野に浸透し、第二期成年後見制度利用促進基本計画(2022年3月25日閣議決定。以下「第二期基本計画」という)において現行制度の見直しの検討が求められるとともに、国連障害者権利委員会による障害者権利条約の日本政府審査の総括所見(2022年10月)では成年後見制度を定める民法の是正勧告が出された。こうした状況の中、法制審議会の部会が設置され、成年後見制度の改革が具体的日程にのぼり、本格的検討が開始された。¶001