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事実

Y(被告)は、いわゆる預託金会員制のゴルフ場(以下「本件ゴルフ場」という)の会員によって組織され、本件ゴルフ場の経営主体であるA社の運営をサポートする団体である。Yは、過去におけるA社との訴訟の最高裁判決(最判平成14・6・7民集56巻5号899頁)により、民事訴訟法29条に基づく当事者能力が認められた、いわゆる権利能力なき社団に該当する。X(原告)は、Yの法人会員である。¶001

本件ゴルフ場のクラブハウスの建替えの協議をめぐり、A社とYの関係が悪化する中、令和4年7月10日開催のYの理事会において、同年8月21日に定時会員総会(以下「本件総会」という)を開催する旨の決議がされた。これを受けて、Yは、会員総数1267名のうち会員名簿に住所が記載されていた1109名に対して、本件総会の招集通知を発した。またYは、会員のうち法人会員263名については、法人の住所ではなく、会員名簿に住所の記載のある、法人に属する特定の自然人(記名会員)の住所に招集通知を発した。その背景には、本件総会以前はA社がYに代わって会員に招集通知を発していたのに対し、本件総会については、Y自身が招集通知を発するため、会員情報の提供をA社に求めたが、A社がそれに応じなかったという事情があった。¶002