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Ⅰ 統治における「国民」の存在感?

1 「国民」による権力の正当化

1990年代の行政改革からこの間、日本の統治機構全般に、異様なまでに「国民」の存在感が増したように思われる。しかしそれは、国民の声が政治を動かす、という意味での存在感ではない。統治の側が「国民」を援用して決定の正当性とする、その限りでの「存在感」である。このことは、行政改革・政治改革・司法制度改革という統治構造改革が「国民主権」を御旗に掲げて突き進んだこととつながりがあるだろう。¶001