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本書は、東京大学の学部1・2年生(文系・理系を問わず)を対象に2021年度に開講された総合科目「法と社会」(題目名は「現代法学の先端」)の授業記録を1冊にまとめたものである。そのような経緯に着目すれば、本書は、大学の初年次生を対象とする法学の入門書として区分できるであろう。しかし、本書は、法の体系や抽象化された法理論をわかりやすく初学者に解説するような、いわゆる「入門書」らしいスタイルを踏襲していない。むしろ、そこには法学の「入門書」の枠に収まることのない特徴をいくつも発見することができ、それがこの本の魅力を構成しているということができる。評者は、中等教育における法教育や高大接続の法教育(憲法教育)を研究対象としていることもあり、以下、そのような観点から本書の特徴を紹介してみたい。¶001