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Ⅰ 国際合意を踏まえた法制化

2019年以降、OECDでは、課税権の配分に焦点を当てる第1の柱と、租税競争に底(最低税率)を設定する第2の柱(グローバル・ミニマム課税)の具体化に向けた議論が進められてきた。いわゆるグローバル・ミニマム課税とは、大規模な多国籍企業グループを対象として、2つの国内ルールの組合せ(Global anti-Base Erosion Rules, GloBEルール)によってその多国籍企業グループに最低税率(15%)の負担を強いることを目的とした制度である。令和5年度税制改正によって、新たに「国際最低課税額に対する法人税」(および「特定基準法人税額に対する地方法人税」)が導入されたが、「税額」に対する「法人税」という奇妙な名称は、国際的に合意された課税ベースを各国が分け合う形で成り立っているこのグローバル・ミニマム課税の構造を反映したものといえる。¶001