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はじめに
令和6年度税制改正においては、防衛増税が見送られ、デフレ脱却と構造転換に向けた動きを後押しするための様々な税制が打ち出された1)。個人向けの措置として、所得税・住民税の時限的な定額減税や、子育て支援税制の拡充等が注目されがちだが、企業向けの措置としてもいくつかの重要なものがある。なかでも、アウトプットに着目した研究開発税制として初めて、イノベーション・ボックス税制が創設された(Ⅰ)。また、課税適正化の観点からは、グローバル化への対応から消費税課税に関して、プラットフォーム課税の導入(Ⅱ)、地方税収安定化のため等から地方税課税に関して、外形標準課税の適用対象法人の見直し(Ⅲ)が注目されよう。本稿では、「新法の要点」として、これら3つの措置に焦点を当て、令和6年度税制改正の大綱(令和5年12月22日閣議決定)を主に参考としつつ概説する(以下の条文は改正後のものである)。¶001