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Ⅰ はじめに
近年、様々な外部要因により化石燃料価格が高騰する中で、わが国電力システムは、電力需給ひっ迫と日本卸電力取引所(以下、「卸電力取引所」という)スポット価格高騰を繰返し経験する等の深刻な影響を受けている。¶001
従来、電気事業は、発電・送配電・小売を一貫して提供する垂直統合システムをもつ一般電気事業者に地域独占が認められるとともに、独占に伴う弊害については電気事業法上の業務規制によって対応が行われてきた。しかしながら、この仕組みでは経営効率化のインセンティブが働かない等の問題があったため、電力の安定供給を効率的に達成し得る公正かつ実効性のある電力供給システムの構築に向けて、1990年代半ばから電力自由化及び競争導入が段階的に推進された。また2011年の東日本大震災による同地域における電力需給ひっ迫と計画停電を契機として始まった電力システム改革では、①安定的供給の確保、②電力料金の最大限の抑制、③事業者の事業機会及び需要家の選択肢の拡大を目指して、旧一般電気事業者(以下、「大手電力会社」という)の垂直統合システムを解体し、電力網への公平なアクセスを確保する発送電分離、及び、公正な卸電力市場の育成を中心として、発電部門と小売部門のさらなる競争促進が図られてきた。¶002