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Ⅰ はじめに

電力が社会のインフラとなって久しいが、近年は、カーボンニュートラルに向け電気自動車への転換が急がれ、社会の基盤として市民の生活に不可欠となったインターネットやIoTも電力に依存するなど、他の社会的インフラの基盤としてもその重要性は一層増している。¶001

わが国では、2000年に電力小売の自由化が特別高圧(以下、「特高」)から開始され、2016年の全面自由化からは7年近くが経過した。全面自由化当初は特に多くのメディア報道がなされ、2018年末には低圧のスイッチング率が20%を超えたことが発表された一方、問題点や課題も指摘されている。電力には、貯蓄困難性や同時同量の必要性など、他の財にはない特徴があり、近年の燃料価格の上昇、それを加速する原因となったウクライナ情勢、加えて円安状況により、わが国の現在の制度が内在する問題も顕在化している。¶002