Ⅰ. はじめに――海外投資家へのアクセスの重要性

本稿では、米国を含む海外投資家へのアクセスを伴う上場について解説する1)

日本企業が東京証券取引所等の国内の証券取引所に上場する場合、株式の募集・売出しが行われるのが通例である。募集・売出しにおける公開価格は、投資家への需要調査を経て決定されることとなるが、より適切なプライシングを行う観点や優良・著名な機関投資家の募集・売出しへの参加により投資対象として市場からの信頼を向上させる目的から、投資経験が豊富であり価格算定能力に優れた海外の機関投資家へのアクセスが重要と言われている。近時、スタートアップ企業の成長が加速し、その新規上場が増加する中、2018年の株式会社メルカリによるグローバル・オファリング(国内投資家に加え、海外投資家への勧誘を伴う募集・売出し)を伴う上場を嚆矢として、スタートアップ企業による海外投資家へのアクセスを伴う上場も増加しつつある。