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CASE
¶001A社は、ソフトウェア開発業者のB社に対し、ソフトウェアXの開発を委託しようとしている。ソフトウェアXは、A社の社内の業務処理のために利用することを想定している。B社は、短納期、安価で、かつ安定した品質での開発を行うため、自らが有するフレームワーク(骨格となるソフトウェア)をベースに開発するという案を提示してきた。A社は、B社の提案が魅力的であると感じつつも、B社が提示してきた「ソフトウェア開発委託契約書」の「著作権の帰属」条項案は、下記のように著作権がB社(=乙)に帰属するという内容になっていた。
A社(=甲)としては、将来、ソフトウェアXのメンテナンスを自社で行う可能性もあると考えているため、B社案をそのまま受け入れることに不安を感じているが、どのような契約条項としていくのがよいだろうか。また、仮にA社が、ソフトウェアXを、社内業務処理の目的に限らず、将来的に改良したり汎用化したりすることで、第三者に提供(ライセンス)して収益をあげたいと考えている場合には、どのようにすればよいだろうか。
《B社が提示した条項案》
第○条 (納入物等の著作権)
1 納入物に関する著作権は、乙または乙に許諾する第三者に帰属するものとする。ただし、甲が本契約締結前から保有していた著作物が納入物に含まれるときは、甲に留保される。
2 甲は、納入物に含まれるプログラムの複製物を、著作権法第47条の3に定める限度で複製、同法第47条の6第1項第6号に定める限度で翻案することができる。乙はかかる利用について、著作者人格権を行使しない。