はじめに

長谷部恭男は、ゲイリー・ジェイコブソンが提示した、「戦う立憲主義」と「従順な立憲主義」との概念に基づき、「日本国憲法は、相当程度、戦う憲法である」1)とする。国際紛争を解決する手段、国家と宗教との関係、そして家父長中心の家制度などについてのこれまでの在り方に対し「従順」な立場をとらなかったからである。大日本帝国憲法が従前の社会の在り方、政治の在り方をそのまま受け継がなかったように。

その「戦う憲法」である日本国憲法において規定された権利の非従順ぶりは、制定直後の一撃だけにとどまるまい。