一定の法制度の成り立ち、それを支える社会的基盤、そこでの権力構造において、宗教的信仰・宗教的権力が重要な意義を有してきたことは、歴史的にも、また、現代世界に展開する諸事象を見ても、明らかと言える。

最も端的には法制度自体が明示的に一定の宗教的教義に立脚する場合があり、そうでなくとも多元的な法秩序の一翼を宗教的権力が担うように、法と宗教的教義とが相互補完的な関係に立つ局面が一方に存在する。他方においては、政治過程・法過程を宗教から意識的に切断する契機が近代国家の根幹をなし、また、法によって体現される権力構造への異議申立てや抵抗・革命運動が往々にして宗教的基盤に立脚するように、法制度・法秩序と宗教との間の緊張関係が前面に出る局面が存する。