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Ⅰ.はじめに
外交関係法は、古典的な「共存の国際法」とされる。Friedmannは、「共存の国際法」を構成する法分野の1つとして「外国主権者の裁判権および外交免除」を挙げ1)、近年でも対世的義務との対比において、相互主義に基づき二国間関係の束に分解される多数国間条約の例として外交関係に関するウィーン条約(以下、「外交関係条約」)が挙げられる。他方で、山本草二は、外交関係条約について、「相互主義に基づく義務の引下げを防止するため、客観的制度を定め、その無差別適用を義務づけ」たと指摘し、同条約による規律を現代国際法の「客観性」を示す例として評価する2)。これらの性格づけは相互にどのように関係するのだろうか。本稿は、「共存の国際法」との関係で、外交関係法が国際法において占める位置を再検討する(Ⅱ)。また、外交関係法と一括りに古典的な相互主義に基づく制度として扱われることが多い領事関係法についても、外交関係法との異同も含めて取り上げる(Ⅲ)。¶001