Ⅰ.はじめに

1.問題の所在

本稿は、主権国家平等概念に深く根差した共存の国際法の下で認められてきた国家元首の免除に焦点を当て、国家元首の免除の現代国際法上の現在地を明らかにすることを目的とする。そして、国際刑事裁判所(以下、「ICC」)が、共存の国際法にどのような影響をもたらしているのか、その現象をどのように評価すべきか考察したい。

今日、国家元首の免除の問題は、重大な国際犯罪についても国家指導者が外国刑事管轄権から免除されるのかという不処罰の文化への試金石となる問いを提起しており、国際法で最も論争的な論点の1つである1)