Ⅰ.「共存の国際法」

「新冷戦」、「民主主義対専制主義の闘い」、「競争的共存」。近年の国際社会について指摘されるこれらは、いずれも国家間の対立関係に注目するものであり、多国間協調に対する「自国第一主義」の主張1)とも異なり、国家間の協力関係の基盤たる共存関係に関わるものである。冷戦終焉後約30年間にわたって国家間の協力関係に期待と注目が集まり、国際法学においても「協力の国際法」の検討が進められてきた。しかし近年の国際社会の動向を踏まえるならば、国家間の共存関係の基盤にあらためて目を向け、「共存の国際法」の現在を点検する必要性が高まってきているように思われる。