CASE
¶001出版社X1の編集者X2は、新人発掘作業を進める中、小説投稿サイトで作品を投稿していたAに注目し、連絡をとることとした。X2はAの作品傾向から、ふんだんにイラストを組み合わせたいわゆるライトノベルの体裁での出版が適していると考え、新作「α」の創作を依頼した。また、X2がAにイラストレーターをどうしようか相談したところ、Aはネット上で交流があり、イラスト投稿サイトで活動しているBを紹介してきた。X2は、BのイラストはたしかにAの作品にあうと判断し、Bに、α の表紙、挿絵の依頼を行うこととした。
AとBは、それぞれ活動の場としていた投稿サイトにおいて人気がある作家ではあったが、これまで商業出版の経験はなかった。このためX2は α の出版にあたり、電子出版を先行させ、評判や売行きがよければ紙版の書籍出版を検討することとし、AとBはこの方針に同意した。
完成した α は電子書籍配信サービスで人気を集めたが、X2は紙版の書籍出版企画よりも、コミカライズするほうが面白いのではないかと考え、AとBに相談したところ同意は得られたが、マンガ制作に直接関与することは難しいとのことであった。そこでX2はマンガの構成担当者としてC、作画担当者としてDを選び、AとBの同意を得てマンガ版 α としての作品 β の制作作業を進めることとした。Cは映画における脚本と同様のスタイルで作品構成を行い、Dはそれに基づいて作画を行うという形で β を創作し、マンガを配信する電子書店での連載配信を開始した。なお β の紙版出版企画は未定であるが、X2としてはチャンスがあれば出したいと考えている。
以上の経緯において、X1は、AないしDとどのような内容の契約をまとめればよいか。